オーボエリードのクローについての誤解
「クロー」について、大きな誤解をしていました。
誤解と私なりに理解するまでの道のりを以下に記す。
発端は高音Gがぶら下がって、かつppでは高音Gがでないリードが出来上がってしまうので、失敗作として、これまで廃棄してきました。本数で20本以上あります。これをなんとかできないものか、とこの2か月悩んだ過程です。
1.クローCが発声できないリードは悪いリードであるという論調が多くの文献に見られます。
クローのCを達成できないものは廃棄したほうがよいという文献例として、ルボア社のオーボエリードメイキング(http://www.lebois-oboe-fagot.com/custom3.html)には、以下のように記載されています。
「⑦ある程度⾳が出るようになったらピッチを確認します。リードの先端の開きの⼤きさを0.5〜0.8mmに調節したらクローをチェックするように深めにリードをくわえて強く吹きます。最終的にはHに落ち着きますが、この段階ではCが良いでしょう。C#以上だとまだまだ全体に厚く、Hだと削りすぎの可能性があります。B(Bb)だとあきらめて新たに作り始めることをお勧めします。リード作りの初期段階では、ケーンの硬さや弾⼒性が邪魔をして削り具合が分からなくなります。リード作り時のチェック吹きは、アンブシュア(⼝及び唇)にかなり負担がかかりますが、吹き⼼地よりもピッチを優先するとリードの成功率は上がります。Cの⾳が出るようになったら仕上げにかかります。」
もうひとつのアメリカンリードの作成実演のYOUTUBEも同様の趣旨で「クローCが達成できない場合は先端をカットしてクローCを達成しなさい」の旨、説明されています。Oboe Reed Making Basic Scrape (https://www.youtube.com/watch?v=4rs-oQTNv_c)
この両者の解釈から、私は高音Gがぶら下がる場合は私の力量からリードを薄くする、薄くしたらピッチが下がるので、先端をカットするを繰り返しました。結局全長目標72mmに対して66mmなど短くなりすぎてピッチが高くなるから楽器につけて吹奏するとき少しリードを上に抜く対応をするというジレンマに陥ったわけです。
ショートスクレープでクローCを達成できなかったリードをロングスクレープに変更したらクローCを達成できるのかと思い悩んでロングスクレープに修正したりして、結局この1か月で10本程度廃棄しました。そのリード自作の徒労に終わった時間と労力はかなりのものです。
2.これではいけないとしてさらに調べますと、クローはリードを押さえてつぶしてCがでるようにして吹きなさいという文献をみつけたわけです。
https://www.alsoj.net/wind-i/magazine/view/280/765.html?pageno=3
文献曰く、リードの状態は「クロー」でチェックします。クローとはもともとカラス(スケアクロー)の鳴き声という意味で、リードを深くくわえて強く吹いた時の「ビャー」という音のことを指します。クローの音が「ピー」の場合は先端の開きを出し、「ビャー」だと良好、「ギャー」の場合はリードを押さえて平べったくします。クローが出たらきれいな「シ」の音を出してみましょう。その時、無理に出さないで自分の力に合わせてリードを調節します。「シ」より低い場合は何度も押さえてリードをつぶします。「シ」より高い場合は側面から押さえて先端の開きを大きくします。アンブシュアを変えて「シb〜ド」が自由に出せるのが良いリードです。アメリカンタイプのリードは「シ〜ド#」になります。
つまり「廃棄せよ」という論調と「押さえてつぶして使用せよ」という論調が存在することが分かったわけです。
悩んだ結果、私は、「クローCがでるようにリードをつぶした後で吹奏しなさい」という文献のほうが、適正ではないのか、という結論に達しました。
自分の場合、普通に作ってクローCがでるリードは20本に1本の割合です。そういう割合からみてもクローCがでないときは廃棄せよとということでは吹奏できるリードはほとんど完成できないわけです。
3、その他文献で「リードだけで吹いた場合にBやC」などと記載されていたとき「リードだけでもピッチはでるから何のことか意味がわからなかった」のですが、「リードだけ」というのは「クローで吹いたとき」と解釈するべきであると分かりました。
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